移民国家の米国でニーズ急騰、留学生や海外駐在員向けに自動車ローンを展開する「Lendbuzz」

2024.03.11

LinkedIn Share

本稿は三菱UFJイノベーション・パートナーズ(MUIP)が昨年に開催した大型イベント「MUIP Innovation Day 2023」に集まった注目のフィンテック・スタートアップをご紹介するもの。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の事業会社各社とのオープンイノベーションを念頭に、どのようなシナジーを生み出すのか。セッションの内容を元に各社の取り組みをご紹介する。

クレジットヒストリーの無い在米外国人向けオートローン「Lendbuzz」

別紙にてご紹介したChargeAfterと同じセッションに登壇したLendbuzzは、外国人などの米国の信用スコア(FICO Credit Score)がない、もしくは低い人のための自動車ローンを提供するユニークなフィンテックスタートアップだ。海外駐在員や留学生、移民など、アメリカでのクレジットヒストリー(信用履歴)が無い人は金融サービスを受けられないため、クルマを一括払でしか購入できない。このギャップに目をつけたLendbuzzは、クルマの購入を希望する消費者のデータを受け取り、予測アルゴリズムを駆使して独自に与信し、デフォルトのリスクを最小限に抑えながら、低金利の自動車ローンを提供する。

Lendbuzzのビジネスが上手いのは、潜在顧客に対する積極的な宣伝活動が必要ない点だろう。Lendbuzzは全米1,000店舗の自動車販売店やディーラーと契約していて、そこにやってきたお客に対して支払手段の選択肢の一つとして提示される。自動車販売店におけるPOSファイナンスのような役割となっている。Lendbuzzは、今年10月にエクイティで4,500万米ドル、デットで3億米ドルを調達し、この際の評価額が11億米ドルだったため、ユニコーンとなったことが確認された。

セッションでモデレーターを務めたMUIP Deputy Chief Investment OfficerのMayank Shiromaniは、融資や貸出といったビジネスは、非常に規律の正しさが求められる分野、言い換えれば、銀行などが得意とする分野だが、イスラエルでそのような領域にスタートアップが多数生まれていること、そうした文化を創出する社会背景についても興味を示した。

確かに信用取引や融資は非常に伝統的な業界だ。自動車ディーラーはほとんどの業務を紙でやっているが、我々は彼らに対してSaaSを提供している。一方で、消費者に対しては、モバイルを使って、リアルタイムで資金を調達できる、より良い体験を提供している。(Lendbuzz CEOのAmitay Kalmar氏)

Lendbuzzはイスラエルで設立されたスタートアップだが、市場が大きいアメリカに進出し、マサチューセッツ州ボストンから事業を開始。現在は全米へと着実に営業エリアを拡大しつつある。ある振る舞いをする消費者が、どういったお金の返し方をするかを予想できるアルゴリズムは、自動車金融以外にも応用できるため、他業界に拡大する可能性があるだろう。

Lendbuzzについて

Lendbuzzは、外国人向けに独自のフィンテックサービスである自動車ローンを提供しているスタートアップ企業で、特にアメリカでのクレジットヒストリー(信用履歴)がない海外駐在員や留学生向けに低金利の自動車ローンを提供しています。

Lendbuzzの巧みなビジネスモデルの一環として、積極的な広告活動が不要である点が挙げられます。同社は全米1,000店舗以上の自動車販売店やディーラーと提携し、彼らの顧客に支払い手段の選択肢としてLendbuzzが提示されます。イスラエルで設立されたLendbuzzは、市場が大きいアメリカに進出し、マサチューセッツ州ボストンを拠点に事業を展開しています。現在、同社は全米で着実に営業エリアを拡大しています。自動車金融の予測アルゴリズムは、クルマ購入以外の分野にも応用可能であり、将来的には他の産業にも展開する可能性があります。

MUIPは、高度なスコアリングモデルや顧客層に関する蓄積データ、ディーラーネットワーク、承認スピード、利率、UX(ユーザエクスペリエンス)などの点で競合優位性がある点を評価し、2021年6月にLendbuzzに投資を実行しました。2023年10月には、エクイティで4,500万米ドル、デットで3億米ドルを調達し、その時の評価額が11億米ドルとなり、Lendbuzzはユニコーン企業となりました。

移民国家の米国でニーズ急騰、留学生や海外駐在員向けに自動車ローンを展開する「Lendbuzz」